双極性感情障害・軽度知的障害での受給事例(障害基礎年金2級)

query_builder 2021/09/17
障害年金の受給事例
障害年金 双極性感情障害 知的障害_R

障害年金の申請が難しいとされる理由の1つに、先に発症している傷病との因果関係を考えなければならないことが挙げられます。


特に精神疾患の場合、うつ病や統合失調症の方に後から発達障害が判明したり、知的障害の方がうつ病を発症したり、など複数の精神的な疾病を抱えていらっしゃる方も多いです。


そのような場合、傷病名が違うということで「別の病気」と考えられがちですが、障害年金においては、前の疾病または負傷がなかったならば後の疾病が起こらなかったであろうと認められる場合は、相当因果関係ありとみて前後の傷病は同一傷病として取り扱われることになります。


その場合、申請するうえでの初診日は前の疾病(負傷)の初診日になります。


例えば、知的障害の方が発達障害やうつ病と診断された場合は同一疾患とみなされることになります。


もちろん、発病の経過や症状から総合的に判断されるため、必ずしもというわけではありませんが、基本的な取り扱いとして定められています。


また、この因果関係を確認するため、病歴というのが非常に重要になってきます。


今回のご相談者様は、当初、双極性感情障害による請求を検討されていましたが、想定していた初診日での保険料納付要件が満たせず、請求を諦めかけていたところに当事務所へのご相談を頂きました。  


障害の状態

病名 軽度知的障害 双極性感情障害

性別 女性(40代)    


学生時代の成績は芳しくはなかったが、小中高と普通学級で過ごし、特に問題もなかった。


婚姻後の生活のストレスからうつ症状を発症、その後病状が悪化し、複数の医療機関を受診したが症状の改善はみられなかった。


現在は働けるような状態にはなく、引きこもりのような生活を送っている。日常生活全般において家族からの支援に頼っている。  


請求結果:障害基礎年金2級(事後重症) 年額:約78万

ご相談までの経緯

双極性感情障害の悪化により就労できる状態ではなくなり、今後の生活の不安に思ったご家族がご自身で手続を試みたものの、初診日での保険料納付要件が満たせず申請が困難な状況となってしまっていました。


それでも諦めきれず、HPで当事務所を見つけていただいてご相談をいただきました。

申請にあたって

初回相談時に、現在の生活の状態を簡単に確認させていただき、障害年金の制度説明やどのような申請になるかなどをご説明させていただきました。


ご家族が当初想定していた初診日では保険料納付要件が満たせないとのことでしたので、それ以前に因果関係の有りそうな症状で病院を受診したことは本当にないのか思いだしていただくところからはじめました。


そうしたところ、もしかしたら因果関係を主張することができそうな受診が20歳前にあることがわかりました。


その後、受診状況等証明書を取り寄せたところ、記載内容からは因果関係を主張できるかどうかは残念ながら微妙なものでした。


そのため、今まで受診してきた複数の医療機関で「どのような説明があったか」「どのような治療を受けたか」などを細かく伺っていったところ、10年以上前に受診した医療機関で心理検査を受けられことがあり、軽度知的障害との診断を受けたことがあるとのお話がありました。


当時、それを聞いたご家族はショックで結果を受け入れることができず、現在まで意識しないようにしてきたため、主治医にも話をしていないことが判明しました。


障害年金での取り扱いとして、知的障害の方に気分(感情)障害が併発した場合、原則として同一疾病と取り扱われることになります。


さらに、知的障害の初診日は出生日となるため、因果関係が認められれば初診日の証明は不要となるため、申請にあたっての要件が満たせることが分かりました。


申請にあたっては、現在通院している医療機関では、知的障害については全く触れられていませんでしたので、心理検査の結果通知を持参し主治医へ相談したところ、その旨を診断書に記載していただくことができました。

申請結果

病歴就労状況等申立書には詳細に初診日からの経過を記載し、就労や日常生活がどういったものであったのか、心理検査を受けた経過も含めて今までの状況が分かるように作成しました。


また、現在の日常生活の状況がより伝わるよう、伺った内容を別紙にまとめ参考資料として添付し、裁定請求に望みました。


その結果、特に返戻もなく、1ヶ月半ほどで、障害の状態が認められ「障害基礎年金2級、年額約78万円」の決定となりました。  


今回は、病歴の確認することの重要性を改めて感じることができた案件でした。  


受診歴や治療の内容などの聞き取りを丁寧に行ったことで、正しい初診日を見つけることができたため、請求へ繋げることができました。


今回の事例のように障害年金の申請では病歴の聞き取りがポイントとなることが多いと感じています。


通院期間が長ければ長いほど、ご本人様も忘れていることや曖昧となっていることも多く、また、今回の「双極性感情障害」と「知的障害」のように傷病名が違っていると「別な病気」と認識してしまい関係ないものと捉えていることも多いと思います。


そのような場合でも、ご自身の病歴をしっかりと確認していくことで、障害年金の受給につながることがあります。


認識の誤りや病歴の確認が不十分であったために、申請をあきらめたり、認定を受けられなかった、というようなことがないよう注意したいですね。


なお、「自分一人ではどうして良いかわからない」「専門的なことはわからない」、そのように悩まれている方は、一度、年金事務所などの相談窓口や社労士などの専門家へ相談してみてはいかがでしょうか。


その際は、初診日や病歴を、できる限り正確に、そして詳細に伝えることが重要です。

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