【精神科への継続通院有】社会的治癒を申し立てたうつ病・統合失調症の受給事例(障害厚生年金2級)

query_builder 2020/12/18
障害年金の受給事例
障害年金 社会的治癒 うつ病 統合失調症_R

障害年金の請求では初診日の特定が非常に重要になってきます。


初診日の申立方法のひとつに社会的治癒というものがあります。


過去に同一傷病や因果関係のある傷病で医療機関の受診があっても、一定期間通院や投薬治療を受けておらず、医学的には治癒しているとは言えないものの、社会生活を行うのに問題なく過ごせていた場合には治癒したと見なし、再発した後の症状は別だとして、通院を再開した日を初診日として申し立てる方法になります。


社会的治癒を認められるための通院や投薬治療を受けていない期間は、一般的には5年と言われています。


ただし、一定の条件が揃えば、継続的に通院を行っていても、社会的治癒が認められる場合があります。


今回ご相談いただいたケースでは、長期間の定期通院があったものの、勤務状況は良好であり、また、重篤化につながった明確なきっかけがあったため、社会的治癒が認められる可能性があると判断し申請を行いました。  


障害の状態

病名 うつ病・統合失調症

性別 男性(40代)  


大学入学後から対人恐怖症のような症状があり、学生生活に悩んでいたため、大学内の医療センター(精神科)に定期受診していた。


卒業後は公務員となったが、周囲から悪口を言われているような気がするというような症状があったため、精神科を受診し、統合失調症と診断をされていた。


定期的に転勤があるため各地の精神科を20年以上定期的に受診していたが、症状は落ち着いており、勤務上も問題はなく昇給・昇進もしていた。


その後、妻の他界を機にうつ病を発症し、統合失調症も悪化し、休職、労務不能状態が続いていた。  


申請結果:障害厚生(共済)年金2級(認定日3級) 年額 約145万

     遡及額 約215万(3年3か月遡及)

相談までの経緯

ご相談者様は、職場での短時間勤務などの業務上の配慮もあったが、抑うつ状態と統合失調症の症状で勤務することができず悩んでいたところ、上司の方から障害年金というものがあると教えられたそうです。


それからご自身で当事務所のHPを見つけていただき、ご連絡を頂きました。

申請にあたって

ご相談者様にはヒアリングのお時間をいただき、現在のお体の状況の確認と障害年金の制度説明、初診日の確認、どのような請求になるかなどをご説明・確認させていただきました。


当初は、就職してからの通院と伺っており、継続的な通院もあっため、厚生(共済)年金での事後重症請求を行う予定でした。


しかし、詳しくお話を伺っていったところ、実は初診日は20歳前にあることがわかり、基礎年金での請求になると思われました。


その後、ヒアリングをもう少し詳しく進めていくと、精神科への継続的な通院はあったものの、当初あった統合失調症の症状は落ち着いており、仕事でのストレス緩和を目的として通院していたこと、長期間問題なく勤務を行えていたことがわかりました。


また、重篤化したきっかけは、配偶者の他界であり、それを機にうつ病を発症し、統合失調症も重篤化したことが分かりました。


医師に確認をしたところ、配偶者の他界がうつ病発症の原因であることは明確との診断だったため、社会的治癒の申立を行い厚生(共済)年金の「認定日請求」を行うことにしました。

申請結果

社会的治癒の申立による認定日請求の初診日は、共済期間であるため請求先は共済組合になりますが、万が一社会的治癒が認められなかった場合は、20歳前の医学的初診に基づく障害基礎年金の事後重症請求を行うことになります。


その場合の請求書の提出先は日本年金機構となるため請求先が分かれる状況でした。社会的治癒の申立は審査が長期化する可能性があるうえ、審査結果を待ってから事後重症請求をしたのでは、審査にかかってしまった時間だけ受給できる年金が減ることになってしまいます。(事後重症は申請月の翌月から支給)


そのため、日本年金機構と共済組合への同時請求を行い、社会的治癒が認められなかった場合の権利確保を行いました。


社会的治癒の申し立てにあたっては、時間がかかってしまいましたが、複数の医療機関、職場、同僚の皆様からたくさんのご協力を頂き、参考となる資料を集めて添付を行いました。


結果、当初の長期化するのではないかという不安に反し、返戻されることもなく、申請から約2ヶ月半で「障害厚生年金2級(認定日3級)」の決定通知書が届き、遡及も認めていただきました。


今回の請求は認定例も少ない、継続通院がある状態での社会的治癒での申請となったため、ご相談者様には「可能性は低いので期待はしないでほしい」と何度もお話していました。


ご不安をおかけしてしまった部分もありましたが、すべての判断を当事務所に任せていただき、認められうる最高の形での認定となりました。

社会的治癒の取扱について

「社会的治癒」とは、「傷病が医学的には治癒していない状態ではあるが、症状が消失して通常の社会生活が可能であり、かつ、原則として投薬治療が不要で、外見上治癒したと見えるような状態が、ある程度の期間にわたって継続している状態」とされています。


この「社会的治癒」という考え方は、請求者を救済する趣旨で考案されたものとされており、今回の事例のように、社会的治癒の申立を行って申請をするのも1つの方法になります。


社会的治癒の「ある程度の期間」とは、具体的に何年以上と決められている訳ではありませんが、「5年」がひとつの判断基準となっています。


ただし、これはあくまでも目安であり、4年でも認められているケースや6年でも認められていないケースなど、状況等から総合的に判断されることになります。


そして、障害年金でこの社会的治癒が認められた場合は、再び症状が出て初めて医師等を受診した日が初診日と扱われることになります。


社会的治癒で初診日の申請を行う場合に注意しなければいけないことは、社会的治癒を判断するのは保険者になるということです。


そのため、提出する病歴・就労状況申立書には、発病からの状況を医学的な初診日を含めてすべて記入を行い、そのうえで、社会的治癒を主張する期間について、治療をする必要がなかったことや、問題なく社会生活を送っていたことなどを記載していきます。


そして、それらを証明する資料を可能な限り添付し、社会的治癒後の初診日を記入して提出を行います。


社会的治癒には、投薬治療をまったく必要としていなかった場合だけでなく、少数ですが、維持的・経過観察的な治療が継続していても認められる場合があります。


再発防止のための予防的な服薬があっても認められる場合もあります。 逆に、病院に行きたかったが、治療費が無いために受診を中断していたという場合には社会的治癒にはなりません。  


今回の事例は非常にレアなケースですが、一定期間通院を行っていなかった場合などには「社会的治癒」による初診日の申立も検討して見るようにしましょう。


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