人工透析で障害年金請求、初診日証明がとれないとのご相談

query_builder 2020/08/14
障害年金の受給事例
人工透析 初診日 障害年金_R

障害年金の請求では、『「初診日」が特定できれば請求手続きの7割が完了する』と言われるほど「初診日」を特定することが重要です。


しかし、長期間に渡り治療を継続されてきたような場合、カルテの廃棄・医療機関の廃院などの諸事情により「初診日」を特定することが難しいことも少なくありません。


今回ご相談いただいたケースも「慢性腎炎を長く患い、人工透析療法を受けているが、在職中であったため障害年金については相談したことがなかった。最初に受診した医療機関はすでに廃院となっており、初診日の証明を受けることができない。」ということでの来所でした。


障害の状態

病名:慢性腎炎
性別:男性(50代)

20代の頃より慢性腎炎を患っていたが、症状が徐々に悪化
現在は人工透析を週3回行っている
高校卒業時から現在まで就労中

申請結果:障害厚生年金2級 年額:約140万

ご相談までの経緯

今回のご相談者さまは、慢性腎炎の悪化により数年前から人工透析療法を行ってきましたが、これまで障害年金についての相談や請求手続きをされたことがなかったそうです。

週3回の人工透析を行いながらの就労は身体的にも厳しい状態でしたが、在職中は障害年金を請求しても受け取ることができないと思っていたため…との理由でした。

ところが、最近になって知人から「人工透析を行っているのであれば、障害年金に該当するのではないか」とアドバイスを受け、請求してみようと思われたそうです。

ご自身で請求を行うつもりでしたが、手続きが複雑で特に『初診日の証明』となるものが何もなく、どうしていいかわからないまま手続きをすることができずにいたとのことでした。

手続方法について、インターネットなども活用しながら模索していたところ、当事務所のホームページをご覧になり、ご相談に来られました。

申請にあたって

今回のご相談は、『初診日の証明』がポイントとなりました。

ご相談者様は、20代の頃、職場の健診で蛋白尿を指摘され、初めに自宅近くのA医院を受診されたそうです。

10年以上慢性腎炎で通院されておりましたが、最初の受診医療機関であるA医院が廃院となったため、その後、複数回の転院を繰り返し現在に至っています。
 
障害年金を請求するためには、A医院を初めて受診した日の証明が必要となります。
 
しかし、すでにA医院は廃院となっているため証明を受けることはできません。

このような場合、初診日と初診日の証明書を受けることができない理由を申立て「受診状況等証明書が添付できない申立書」を作成し、申し立てた初診日を裏付けるための参考資料の添付が必要となります。

そこで、相談者さまは、当時A医院から渡された転院先の医療機関への「紹介状」が参考になるのではないかと思い、次の医療機関であるB医院に照会したそうです。

しかしながら、終診が約8年ほど前であったため、B医院でもカルテも紹介状も残っていなかったとのことでした。

この時点でのご相談ではありましたが、何か初診日証明の手がかりとなるものを見つけるため、複数回のヒアリングを行い、参考となる資料について色々ご提案させていただいたところ、当時A医院にお勤めだった看護師さまと連絡が取れるとのことでした。

長く通院されていたこともあり、相談者さまのことをよく覚えておられ、初診日についての証明(「初診日に関する第三者からの申立書(第三者証明)」)にもご協力いただくことができ、ようやく初診日が確定し、障害年金の請求に進むことができるようになりました。

申請結果

原則、20歳以降に初診日がある傷病で障害年金を請求する場合、受診状況等証明書が提出出来ない場合には、第三者の証明のみでは不十分とされ、それを裏付ける参考資料が別途必要となります。


ただし、当時通院していた医療機関の医療従事者の証明である場合は、別途参考資料がなくとも初診日を証明する有力な参考資料として取扱われます。


今回のケースについては、看護師さまの第三者証明が有力な参考資料として認められ、事後重症請求により障害厚生年金を受けとることができました。


※受診状況等証明書が取得できない場合の初診日の証明方法についてはこちらをご参考ください。

障害年金の初診日とは?初診日の特定が最重要です!

事後重症請求について

今回のケースの年金の権利の発生は請求書を提出した日、支払われるのは請求書提出月の翌月分からとなります。

本来、障害年金は初診日から1年6ヶ月経過した時点の病状で判断されますが、その時点では症状が軽く障害年金に該当しない場合でも、その後病状が悪化し障害年金に該当するようになった時点で請求することができます。

これを「事後重症」による請求と言いますが、今回はこの「事後重症」による請求となりました。

「事後重症」は先述のとおり「年金の権利の発生は請求書を提出した日、支払われるのは請求書提出月の翌月分から」となります。

人工透析を受けるようになった場合は、原則、2級相当と判断されるため、人工透析開始時に請求すればもっと早くから年金を受け取れたということになります。

確かに障害年金は、就労されている場合には認定が難しい場合がありますが、人工透析やペースメーカー、人工肛門など就労状況とは関係なく認定されるものもあります。

今回のご相談者さまのように、「在職中は年金を受け取れないのではないか」というような、誤った認識をされていたため年金の請求が遅れてしまうようなケースや「初診日の証明書がないと請求できない」と思われ手続きそのものを諦めてしまわれる方も中にはいらっしゃると思います。

年金制度は複雑であるうえに、手続きも大変なことが多いです。

そんなときは、諦めてしまわずに社会保険労務士などの専門家へ相談することで、年金を受け取れるようになることもあります。

少しでも心配事や疑問がある場合は、できるだけ早く相談することが大切です。

よくある勘違い?障害認定日の特例と事後重症請求の取り扱い

人工透析が障害年金に該当すると把握されている方でよくある勘違いがあります。

障害認定日は原則、初診日から1年6ヶ月経過した日となりますが、一部の傷病では、1年6ヶ月経過する前に障害認定日が認められる場合があります。

この例外の一つに、「人工透析療法を受けている場合は、透析開始日から3ヶ月を経過した日」があります。

そのため、人工透析開始から3ヶ月経過すれば障害年金がもらえると認識してしまう方がいらっしゃいます。

しかしながら、実際には、人工透析に至るまでに長い年月が経過している場合が多く、請求は事後重症請求となる場合がほとんどです。

事後重症請求は、障害認定日時点では症状が軽く障害年金に該当しない場合でも、その後病状が悪化し障害年金に該当するようになった時点で請求することができるものです。

そのため、人工透析が開始された時点で請求することが可能となります。

この点を把握しておくことで、数ヶ月分ではありますが、障害年金を早めに受給することが出来ます。

自分も該当するんじゃないかな?など、少しでも心配事や疑問がある場合は、専門家へ相談をするようにしてみましょう。


当事務所では動画で障害年金の解説も行っておりますので、是非ご参考にしていただければと思います!

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