知的障害で障害年金を申請するためのポイントをご紹介!

query_builder 2020/11/02
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障害年金 知的障害 ポイント_R

知的障害をお持ちの方も状態によっては障害年金の対象となります。


ただし、知的障害で障害年金を申請する場合にはいくつか特別な取扱がありますので、注意が必要です。


今回は、知的障害で障害年金を申請する際のポイントについて解説いたします!

知的障害の認定基準

疑問

知的障害を持っている人はすべて障害年金が受けられるのですか?

セミナー講師

いいえ。知的障害がある人がすべて対象になるわけではありません。


「知的障害」とは、知的機能の障害が発達期(おおむね18歳まで)にあらわれ、日常生活に持続的な支障が生じているため、何らかの特別な援助を必要とする状態にあるものをいいます。


障害年金の対象となる状態については、「国民年金・厚生年金保険 障害認定基準」により定められています。


国民年金・厚生年金保険 障害認定基準

疑問

どの程度の知的障害が対象となるのですか?

セミナー講師

はい。「国民年金・厚生年金保険 障害認定基準」では障害等級に相当する障害の状態について次のように例示されています。


障害の程度 障害の状態
1級 知的障害があり、食事や身のまわりのことを行うのに全面的な援助が必要であって、かつ、会話による意思の疎通が不可能か著しく困難であるため、日常生活が困難で常時援助を必要とするもの
2級 知的障害があり、食事や身のまわりのことなどの基本的な行為を行うのに援助が必要であって、かつ、会話による意思の疎通が簡単なものに限られるため、日常生活にあたって援助が必要なもの
3級 知的障害があり、労働が著しい制限を受けるもの


これだけだと、ちょっと曖昧でわかりづらいかもしれませんね。


精神障害の審査においては、障害認定基準の他、「精神の障害にかかる等級判定ガイドライン」が策定されており、精神障害の等級判定に用いられています。  


この「精神の障害にかかる等級判定ガイドライン」の中にある「障害等級の目安」という表を見ていくことで障害等級のおおよその見当をつけることができます。



ただし、その他の状況も含め総合的に判断されるため、実際には表のとおりとならない場合もあります。


なお、この表は、診断書の記載内容から判断することが可能です。


国民年金・厚生年金保険 精神の障害に係る等級判定ガイドライン

疑問

診断書のどこを見ると判断することができますか?

セミナー講師

はい。精神の診断書の裏面が参考になります。


障害等級の目安の「程度(1)~(5)」は、精神の診断書の裏面の「日常生活能力の程度」を表しています。


また、判定平均は、同じく精神の診断書の裏面の「日常生活能力の判定」における判定の平均値になります。


具体的には、7項目ある「日常生活能力の判定」を、それぞれ「できる」を1、「自発的にできるが時には助言や指導を必要とする」を2、「自発的かつ適正に行うことはできないが助言や指導があればできる」を3、「助言や指導があってもできないもしくは行わない」を4として合計を出し、平均値を計算します。  


なお、これらはあくまで等級の目安であり、「現在の病状・状態」「療養状況」「生活環境」「就労状況」などその他様々な要素を考慮したうえで総合的に障害等級を判定します。  


その他の要素の例として、  


発育・養育歴、教育歴などについては、「特別支援教育、またはそれに相当する支援の教育歴がある場合は、2級の可能性を検討する。」  


療育手帳の有無や区分については、「療育手帳の判定区分が中度以上(知能指数がおおむね50以下)の場合は、1級または2級の可能性を検討する。」


それより軽度の判定区分である場合は、不適応行動等により日常生活に著しい制限が認められる場合は、2級の可能性を検討する。」  


中高年になってから判明し請求する知的障害は、幼少期の状況について、「療育手帳がない場合、幼少期から知的障害があることが、養護学校や特殊学級の在籍状況、通知表などから客観的に確認できる場合は、2級の可能性を検討する。」


といったものが示されていますが、これ以外にも診断書に記載された様々な状況を考慮の上、総合的に等級の判定がされていくことになります。

知的障害での障害年金申請のポイント

疑問

申請を検討していますが、他の傷病との違いはありますか?

セミナー講師

知的障害による障害年金を申請する場合、初診日の取り扱いが他の傷病とは異なります。


他の傷病の場合、その傷病で初めて診療等を受けた日(「初診日」)の証明(「受診状況等証明書」等)が必要になりますが、知的障害は、生来その障害を発症しているとされていることから、初診日は生まれた日となります。


そのため、知的障害で障害年金を申請する場合には「受診状況等証明書」を始めとする、初診日の証明については添付する必要がありません。


なお、出生後に事故等により知的障害を負った場合や発達障害の場合は、その傷病で初めて診療等を受けた日が初診日となります。


初診日の証明を省略することができませんのでご注意ください。

疑問

そうなると知的障害の初診日が厚生年金期間だったとしても障害厚生年金での申請はできないということになりますか?

セミナー講師

そうです。残念ながら、知的障害は初診日が生まれた日になるため、必然的に20歳前の障害年金請求となり、障害基礎年金での申請となります。  


これは、請求できる障害年金は初診日時点で本人が加入していた年金制度であるため、初診日が生まれた日となる知的障害では、厚生年金に加入しているということはありえず、障害基礎年金での申請しかできないことになります。  


また、障害基礎年金は障害等級2級以上でないと、障害年金の支給を受けることができないため注意が必要です。

疑問

申請するときの注意点はありますか?

セミナー講師

はい。まず、病歴・就労状況等申立書の書き方ですが、知的障害で障害年金申請を行う場合の病歴・就労状況等申立書は初診日が生まれた日となるため、0歳から現在まで記載をしていくことになります。  


病歴・就労状況等申立書は医療機関を受診していない期間や、同一の医療機関を長期間受診していた場合には3~5年ごとに区切って書いていくことになりますが、保育園や幼稚園、小学校、中学校、高校の期間ごとに分けていくことで、記載がしやすくまた、当時の状況を記載しやすくなります。  


なお、令和2年10月からは、生来性の知的障害の場合には、特に大きな変化が生じた場合を中心に、出生時から現在までの状況を一括し、まとめて記入することが可能になっていて、一部簡略化ができるようになりました。


障害年金制度パンフレットが更新 病歴就労状況等申立書の簡素化が可能に


ただし、あまり簡略化しすぎてしまうと、日常生活状況が伝わらなくなってしまう場合もありますので、簡略化をする場合には注意をしましょう。  


次に診断書作成についての注意点です。


知的障害の場合、通院の必要がないため、定期的に受診していないという方はたくさんいらっしゃいます。  


しかし、障害年金申請には医師の診断書が必ず必要になります。  


知的障害での障害認定日は20歳到達日となり、その前後3ヶ月の診断書を取得する必要があります。


20歳を超えてから障害年金の制度を知って、申請を試みたが、20歳前後に通院がなく、認定日請求を諦めざるをえない場合が非常に多いです。  


また、診断書作成のために病院へ行っても初診では診断書を書いていただけない場合が多いので、数回受診をする必要があります。  


障害年金が認められた後でも、更新時に診断書を提出していく必要があるため、診断書を作成してくれる医療機関を見つけ、定期的に通院をしておくようにしましょう。

疑問

知的障害での申請の場合、働いていると年金が止められるって聞いたのですが・・・。

セミナー講師

はい。「働いていると止められる」わけではないのですが、知的障害に限らず、20歳前に初診日がある障害年金については、所得制限が設けられています。


これは20歳前が保険料を納める必要のない期間であることによる取り扱いになります。


具体的な所得制限は


所得が3,604,000円を超える場合は半額支給停止

所得が4,621,000円を超える場合は全額支給停止

※20歳前障害基礎年金の受給権者で扶養親族等ありの場合には各限度額が増えます。扶養親族等1人につき380,000円(ただし、老人控除対象配偶者又は老人扶養親族1人につき480,000円、特定扶養親族等1人につき630,000円)が加算されます。  


所得制限に該当する場合には、当年8月から翌年7月までの1年間の年金額の半額もしくは全額が支給停止となります。

疑問

知的障害とADHDの症状がある場合はどうなりますか?

セミナー講師

知的障害と他の精神疾病が併発している場合は、併合認定は行われず、病状経過等の総合判断をもって障害認定が行われることになります。


併存する精神疾患に応じて、知的障害と後発の精神疾患が同一の疾病か、別の疾病と判断されるかについては、次の表のように原則的な取扱が定められています。


知的障害
(軽度)
発達障害 同一疾病
知的障害 うつ病 同一疾病
知的障害 神経症で精神病様態 別疾病
知的障害 統合失調症 前発疾病の病態として出現している場合は同一疾病(確認が必要)
知的障害 その他精神疾患 別疾病


認定に当たっては、これらを目安に発病の経過や症状から総合的に判断することになります。

座ってる白馬

よくわかりました。ありがとうございました!

頑張りましょう

今回は知的障害で申請する際のポイントについてご紹介いたしました。  


公的年金制度は複雑です。もし、少しでも心配事や疑問がある場合は、できるだけ早く、年金事務所などの窓口や社会保険労務士などの専門家に相談してみましょう。  


当事務所では動画で障害年金の解説も行っておりますので、是非ご参考にしていただければと思います!

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