膀胱がんで新膀胱(人工膀胱)を造設しました。障害年金は受けられますか?とのご相談

query_builder 2020/10/23
ブログ
障害年金 癌 がん 人工膀胱 新膀胱_R

癌(がん)と診断された方は、まず、ご自身の今後の生活について不安を感じられると思います。


先日ご相談いただいた方は、夫の扶養に入りながら短時間のパートをされていましたが、膀胱がんと診断され、新膀胱(人工膀胱)と尿路変向術を受けられたとのことで、「膀胱がんの診断を受けた後もパートを続けることができるのか」「日常生活がどのように変わってしまうのか」というような不安を抱えておられました。


また、「新膀胱(人工膀胱)の増設は障害年金に該当するのか分からない」とご相談を受けました。


今回は、ご相談いただいた内容を基に、癌(がん)と障害年金、新膀胱(人工膀胱)で障害年金を受けれるのか、解説いたします!

癌(がん)と障害年金

疑問

癌(がん)と診断されたら障害年金を受けることはできる?

セミナー講師

残念ながら「癌(がん)」であれば障害年金に該当する、というわけではありません。


障害年金は、病気やケガによって日常生活や仕事などが制限されるようになった場合に、受け取ることができる年金です。


つまり、傷病名で決まるわけではなく、その傷病によってどれだけ日常生活や仕事に支障があるかによって決まるものです。


もちろん癌(がん)は対象となりうる傷病ですので、障害年金に該当する可能性はあります。

疑問

どのぐらいの状態だと障害年金を受けることができるの?

セミナー講師

障害年金には、『障害認定基準』が定められており、障害や病気がどのような状態のときに、障害年金の対象になるかが示されています。


日本年金機構のHPなどにアップされていますので、興味があれば一度見てみましょう。


国民年金・厚生年金保険 障害認定基準(日本年金機構HP)


国民年金・厚生年金保険 障害認定基準(PDF版)


癌で障害年金を請求する、というと「末期でないと申請できないのでは…」と思われている方もいらっしゃるかもしれません。


冒頭で記載した通り「傷病名」や「進行度」が重要なのではなく、あくまで、どれだけ日常生活や仕事に影響があるかがポイントになります。  


『障害認定基準』には、


障害等級1級 全身の衰弱や障害のため身の回りのことを自分ですることができず、常に介助が必要。一日中寝ていなければならないような状態で、活動の範囲がおおむねベッド周辺に限られる状態。
障害等級2級 歩行や身の回りのことは自分できるが、衰弱や障害により時々介助が必要となることもあり、労働はできない(軽労働でも)が、日中の半分以上は起きていることができる、もしくは身のまわりのある程度のことは自分できるが、衰弱や障害によりしばしば介助が必要で、日中の半分以上は寝ている。自力では屋外への外出等がほぼ不可能な状態。
障害等級3級 歩行や身の回りのことは自分できるが、全身の倦怠のため時々介助が必要となることもあり、労働はできない(軽労働でも)が、日中の半分以上は起きていることができる」もしくは「軽度の症状があり、全身の倦怠のため肉体労働は難しいが、歩行、軽労働や座業はできる状態。(例えば、軽い家事、事務など)


と示されています。


ただし、このような日常生活の状態だけではなく検査データやその悪性度、転移の有無、病状の経過と治療効果等を参考にして総合的にみての審査となりますので、「この状態だったら○級に該当する!」というものではないのでご注意下さい。


同じような症状でも結果が異なることもあります。 具体的に「どういった状態だと該当するのか」が示されているわけではないのでわかりづらいと思いますが、「もしかしたら等級に該当するかも?」と思ったら、主治医や年金相談窓口などに相談してみましょう!


なお、障害年金には障害の状態によって、等級が決まってくるものがいくつかあります。 ご相談いただいた「新膀胱(人工膀胱)の造設」もそのうちの1つです。

新膀胱(人工膀胱)と障害年金

疑問

新膀胱(人工膀胱)を造設したら何級に該当する?

セミナー講師

新膀胱を造設した場合は原則3級になります。


また、人工肛門や尿路変更術を施した場合も原則3級です。


なお、次の2つケースは、2級に該当します。


①人工肛門を造設+新膀胱(人工膀胱)を造設または尿路変更術を施したもの

②人工肛門を造設+全排尿障害(カテーテル留置又は自己導尿の常時施行を必要とする)状態にあるもの


また、①②に該当しなくとも全身状態や術後の経過とその予後、原疾患の性質、進行状況等により総合的に判断されるため、新膀胱(人工膀胱)の造設のみあったとしても場合によっては2級や1級に該当することもあります。


今回のご相談者様は、膀胱がんの初診日が国民年金加入中であったため、障害基礎年金の請求となる方でした。


新膀胱(人工膀胱)と尿路変向術を行っておりましたが、認定基準上は3級相当となってしまい、障害基礎年金は2級と1級しかないため、障害年金に該当するのは難しいと思われましたが、病状によっては上位認定の可能性もあるため、以上の基準を説明した上でご検討いただくよう案内しました。


このような基準があるため、障害年金2級となるためには、膀胱に関してだけでは難しく、人工肛門と組み合わせる必要があるため、障害基礎年金での請求はなかなか難しいというのが現状になってしまいます。

疑問

もし、障害年金に該当しそうな場合、請求手続きはいつからできる?

セミナー講師

障害年金を請求する方法というのは、認定日請求・遡及請求・事後重症請求 などいくつかあります。


詳しくは、過去のブログ紹介していますので参考にしてください。


障害年金の請求方法にはどんなものがあるのか分かりやすく解説【動画解説あり】


障害年金は、基本的に初診日から1年6ヶ月を経過した日(「障害認定日」)に障害の状態にある場合に請求することが可能(障害認定日請求)ですが、新膀胱造設の場合は、1年6ヶ月を経過する前に障害認定日を迎えるケースがあります。


1年6ヶ月を経過する前に新膀胱を造設した場合、造設日が「障害認定日」となりますので、その時点から請求することができます。


また、人工肛門造設や尿路変更術を施した場合は、それらの施術を行った日から6ヶ月経過した日が、初診日から1年6ヶ月経過する前である場合は、その日が「障害認定日」となります。


なお、次の①②に該当する場合の障害認定日の取り扱いは次のようになります。


①人工肛門を造設+新膀胱を造設もしくは尿路変更術を施したもの

・人工肛門を造設した日から6ヶ月を経過した日もしくは新膀胱を造設した日のいずれか遅い日(初診日から起算して1年6ヶ月を超える場合を除く。)

・人工肛門を造設し、更に尿路変更術を施した場合は、それらの施術を行った日のいずれか遅い日から6ヶ月を経過した日(初診日から起算して1年6ヶ月を超える場合を除く。)


②人工肛門を造設+全排尿障害(カテーテル留置又は自己導尿の常時施行を必要とする)状態にあるもの

・人工肛門を造設し、更に完全排尿障害状態にある場合は、人工肛門を造設した日又は完全排尿障害状態に至った日のいずれか遅い日から6ヶ月を経過した日(初診日から起算して1年6ヶ月を超える場合を除く。)


少しややこしいですので、わかりづらいときは窓口や専門家等に聞いてみましょう!

1年6ヶ月前に請求できる障害

疑問

他の癌(がん)でも1年6ヶ月前に請求できることはある?

セミナー講師

「癌(がん)」に限っての取り扱い、ということではありませんが、障害の状況によっては、1年6ヵ月以内であっても請求することができるものがあります。


例えば、咽頭がんなどにより喉頭全摘出した場合は「摘出日」が障害認定日になります。


また、肺がんなどにより在宅酸素療法を施工した場合は「療法開始日」が障害認定日になります。


他にも・・

・人工透析療法を行っている場合は、透析を初めて受けた日から起算して3ヶ月を経過した日

・人工骨頭又は人工関節をそう入置換した場合は、そう入置換した日

・心臓ペースメーカー、植え込み型除細動器(ICD)又は人工弁を装着した場合は、装着した日

・切断又は離断による肢体の障害は、原則として切断又は離断した日(障害手当金又は旧法の場合は、創面が治癒した日)


など、「癌」とはあまり関係ありませんが、1年6ヶ月前に障害認定日となる状態の例を挙げてみました。  


この障害認定日と障害認定日の特例についても過去のブログでご紹介していますので読んでみてください。


障害年金の障害認定日っていつのこと?原則と例外について解説【動画解説あり】

座ってる白馬

今回もありがとうございます!いろいろと勉強になりました。

頑張りましょう

よかったです!


今回は癌(がん)と障害年金、新膀胱(人工膀胱)と障害年金について解説いたしました。  


「癌(がん)」と診断されたとき、やはり一番に考えてしまうのは経済的な部分ではないでしょうか。


障害年金は、ケガによる障害だけでなく、あらゆる病気が対象となりますので、「癌」も障害年金受給の対象になります。


障害年金に該当するかの判断は難しいところではありますが、「障害年金を請求する」という選択肢があるということを覚えておいていただければと思います。


安心してご自身の傷病と向き合っていただくための公的年金制度です。


経済的支援を必要としていたにもかかわらず、年金を受け取れない、あるいは受け取らないまま過ごしてしまった、ということがないよう、少しでも心配事や疑問がある場合は、できるだけ早く、年金事務所などの窓口や社会保険労務士などの専門家に相談してみましょう。


 当事務所では動画で障害年金の解説も行っております。


過去のブログでも色々な事例や手続きのご案内を載せていますので、是非ご参考にしていただければと思います!

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