老齢年金を繰上げ受給すると障害年金はもらえないのか?繰上げ受給のデメリットを解説

query_builder 2020/09/14
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老齢年金 繰上げ デメリット 障害年金_R

現在の日本の年金制度は、65歳から老齢年金が支給されることとなっています。


様々な事情で早く年金を受給したいという場合には、60歳以後であれば、早めに老齢年金の受給をすることが可能です。これを「繰上げ受給」と言います。


ただし、この繰上げ受給をすると障害年金が請求できなくなってしまう場合があるなど、デメリットが多くあることも事実です。


今回は、老齢年金の繰上げ受給のデメリットと、障害年金請求において、繰上げ受給していても請求が可能な場合と請求ができなくなる場合について解説していきたいと思います。

老齢年金の繰上げ受給について

疑問

老齢年金って65歳になる前に受給できるの?

セミナー講師

老齢年金は、原則として65歳から受けることができますが、希望すれば60歳以降は65歳になる前でも繰上げて受給することが可能です。


ただし、早めに年金を受給できる代わりに、老齢年金の繰上げ受給をすると本来受給可能な年金額よりも、繰上げした月数に応じて減額されてしまい、その減額率は一生変わることはありません。

疑問

繰上げ受給するとどのくらい減額になってしまう?

セミナー講師

減額率は、1ヶ月繰上げるごとに0.5%減額となります。


例えば、本来65歳からの老齢基礎年金を60歳0ヶ月から5年(60ケ月)繰上げて受給した場合であれば、30%(0.5%×60ケ月)減額され、本来の金額の70%の額で受給することになります。


つまり、老齢基礎年金の満額である約78万円を受給可能な方が5年繰上げた場合、約55万円(約78万円✕70%)まで年金が減額されるということになります。

繰上げ受給のデメリットについて

疑問

繰上げ受給をすることでデメリットは?

セミナー講師

当事務所では、老齢年金の繰上げについてのご相談があった場合については、よほどの理由がない限り繰上げ受給はお薦めしない、とお話をさせていただいております。


老齢年金の繰上げ受給には次のようなデメリットがあるためです。


①一度減額された金額は65歳以降も戻ることはありません。
※振替加算の加算対象者は、65歳になると振替加算額分は増額されます。


②一度繰上げ受給した後に裁定の取消しはできません。


③寡婦年金の受給権者が老齢基礎年金を繰上げ受給すると寡婦年金は失権してしまいます。また、繰上げ受給している方は寡婦年金の請求をすることができません。


④繰上げにより老齢基礎年金の受給権発生後に初診日があるときは、障害基礎年金が受けることができなくなります。仮に繰上げ受給をする前の病気やけがによる障害がある場合でも、障害基礎年金の請求ができない場合がでてきます。


⑤65歳前に遺族年金の受給権が発生した場合は、1人1年金の原則から、老齢基礎年金と遺族年金のどちらかを選択することになります。多くの場合は、遺族年金を選んだ方が有利ですが、仮に遺族年金を選択したとしても、65歳以後受け取る老齢年金の額は減額されたままになります。


⑥一度繰上げ受給してしまうと、国民年金の任意加入被保険者になることができなくなります。また、免除期間について追納することもできなくなります。


このように老齢年金の繰上げには、早めに年金をもらうことができる代わりに多くのデメリットがあります。どうしても繰上げ受給をしたいと思ったときは、安易に決断せず、できるだけ、年金事務所などの相談窓口や専門家に相談していただきたいと思います。


日本年金機構でも老齢年金の繰上げ受給の注意点としてHPで公開していますので、参考にしてみてください。


繰上げ受給の注意点(日本年金機構HP)

繰上げ受給をすると障害年金がもらえなくなるのか

疑問

繰上げ受給をすると障害年金がもらえなくなってしまうのは、どのような場合?

セミナー講師

60歳以上で被保険者ではない期間に初診日がある場合


障害基礎年金の支給要件のひとつに初診日要件(加入要件)があり、次のいずれかの間に初診日がある必要があります。


① 国民年金の被保険者であること。
② 被保険者であった者であって、日本国内に住所を有し、かつ、60歳以上65歳未満であること。


ここで重要なことは、この要件のうち、②の規定は、老齢基礎年金を繰上げ受給した場合には適用されなくなるということです。


②の「被保険者であったもの」すなわち、「今現在は被保険者ではなくとも…」という条件が適応されないため、国民年金の被保険者ではない状態(60歳以後に任意加入をしていない状態)の場合には、障害基礎年金の請求が出来ないことになります。


具体的に障害基礎年金の請求が出来なくなるパターンは図のとおりになります。


初診日が老齢基礎年金の繰上げ受給前にあっても、繰上げ受給後に障害認定日がある場合は、老齢基礎年金の受給権が先に発生してしまうので、障害基礎年金請求はできません。


また、同様に老齢基礎年金の繰上げ受給後に初診日と障害認定日がある場合にも、障害基礎年金の請求はできません。

疑問

ほかにはどのような場合があるの?

セミナー講師

事後重症請求ができなくなります。


事後重症請求とは、障害認定日には障害等級に該当しなかった者が、その後65歳に達する日の前日までの間に障害等級に該当した場合に、その日までに障害年金の請求をすることができる制度です。


老齢基礎年金の繰上げ受給をすることで、その時点で65歳に達したとみなされてしまうため、繰上げ受給以後は事後重症請求をすることができなくなります。

疑問

繰上げ受給をしていても障害基礎年金請求が可能な場合ってないの?

セミナー講師

繰上げ受給をしていても障害基礎年金が請求可能なパターンは図のとおりになります。


まず、繰上げ受給前に、初診日と障害認定日があり、障害認定日に障害等級に該当していること。


また、初診日が繰上げ受給前で、かつ被保険者(国民年金への任意加入もしくは厚生年金被保険者)であれば、障害認定日が繰上げ受給後にあったとしても障害年金の認定日請求は可能になります。


なお、老齢基礎年金の繰上げ受給後に初診日および障害認定日がある場合でも、初診日が厚生年金の被保険者である場合は、障害厚生年金のみ認定日請求を行うことはできます。


いずれの場合でも事後重症請求は出来ないことに注意が必要です。

繰上げ受給をしていた方の相談事例

疑問

実際に老齢年金の繰上げ受給をしていたために、障害年金を申請できなかったケースってある?

セミナー講師

現在64歳で数ヶ月前に咽頭ガンのため、咽頭の摘出手術を行ったという方から障害年金申請に関してのご相談をいただきました。間違いなく障害状態要件に該当しているため、経緯についてお話を伺っていると、今現在老齢基礎年金を繰上げ受給されているとのことでした。


聞けば、手術費用をまかなうために致し方なく手術の前月に繰上げ受給されたとのこと。


繰上げしている老齢基礎年金よりも障害基礎年金の方が、金額が大きかったため、なんとか請求できないか検討しましたが、初診日のタイミングから考えて障害年金の申請は断念せざるを得ませんでした。


せめて、手術の翌月以降の繰上げであれば、障害年金の請求が可能だったのですが、実際には差し迫った事情がありましたので、仕方がないことではありますが、非常に悔やまれるご相談でした。


ちなみに、老齢基礎年金の満額(約78万円)と障害基礎年金の2級の金額は同額となります。


未納期間がある場合や、繰上げ受給した場合には障害年金基礎年金のほうが金額が多くなりますし、障害年金は非課税所得となりますので、有利となる場合がほとんどです。

座ってる白馬

繰上げ受給をするかはよく考えてからの方がいいんだね!

頑張りましょう

人生100年時代に入っている現代において、繰上げ支給は一時的に金銭面の解決になるかもしれませんが、障害年金を始め、デメリットが非常に多いのも事実ですので、繰上げ受給にあたってはよく検討をするようにしましょう。


もし、少しでも心配事や疑問がある場合は、できるだけ早く、年金事務所などの窓口や社会保険労務士などの専門家に相談してみましょう。


当事務所では動画で障害年金の解説も行っておりますので、是非ご参考にしていただければと思います!

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